花びらのような命

自由律俳人 松尾あつゆき 全俳句と長崎被爆体験


竹村あつお/編
A5判、上製
476ページ
3,600円(本体価格)

被爆俳人、慟哭の叫び!!

 荻原井泉水を師とし、種田山頭火を兄弟子とした自由律俳人・松尾あつゆき。彼は、長崎原爆で最愛の妻と我が子三人を一瞬にして喪い、絶望の戦後を歩む。しかし、慟哭の淵から立ち上がり、その人生を支えたのは、自由律俳句であった。
 核戦争の恐怖とその無惨さを俳句に託し、心の奥底から絞り出した被爆俳人の叫びこそ、いま危うい時代に生きる私たちの魂に突き刺さる!



降伏のみことのり
妻を焼く火いまぞ熾りつ

なにもかもなくした手に
四枚の爆死証明


 1945年8月9日午前11時2分、一発の原子爆弾が1人の俳人の人生を奈落の底に突き落とす。妻子4人を喪い、重傷の娘を抱えながら、松尾あつゆきは被爆体験と真正面から向き合い、魂の放浪を続ける。長崎から逃れるようにして異郷の地信州松代へ来たあつゆきは、信州の自然に心惹かれながらも、喪った妻子への慚愧の念に耐え難く、再び故郷長崎へと戻る。被爆体験を俳句を通して世界に訴え続けたあつゆきは、1983年10月10日永遠の眠りに着く。
 本書は長野県屋代高校で、敦之から教えを受けた著者が、恩師の人柄に深く傾倒し、その全生涯にわたる俳句及び著作を長い年月かけて蒐集、亡き恩師に捧げたものである。




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